1−1 | |
BG | (ニュース) |
| ※テレホンボイスで |
キャスタ−2 | えー、それでは次はこの話題です。 |
SE | (ニュースの「ジャン!」) |
キャスタ−1 | 先日、都内のホテルで3人の男性が首をつって死んでいるのが発見された事件で、警視庁の捜査本部は、この3人がそれぞれの取引先の社長であることを発表しました。 |
キャスタ−2 | どうもそれぞれの会社が経営破綻にさしかかっているのを悲観しての心中とみられていますが。それにしてもこのような話をきくと悲しくなりますよね。 |
キャスタ−1 | まったくですね。 |
キャスタ−2 | では次は明るい話題に移りましょう。こちらです。 |
SE | (TV消す)、同時にBG C.O. |
クロフォード社長 | うーん…。 |
島 秘書 | あら、社長。考え込んじゃってどうしたんです? |
クロフォード社長 | ん?ああ、島くんか…。君はどう思う?今の日本の経済状況を見て。 |
島 秘書 | そうですね…。でも日本の景気よりまず我が社の経営状態を考えるのが先ではないですか?数年前まで黒字続きでウハウハだったクロフォード株式会社の名が泣きますよ。 |
クロフォード社長 | た、確かにそうだが…。 |
BG | (ちょっと楽しげ)C.I. |
播磨 秘書 | おや?社長さんが悩み事とは珍しいね。 |
仁志 秘書 | あんまり考えすぎると白髪が増えますよー。 |
クロフォード社長 | (いらだつ)ああっ!播磨くんも仁志くんもうるさいよ!君たちは秘書としての自覚はあるのか? |
播磨 秘書 | おいおい社長さん、そういうアンタだって秘書を3人も侍らせとくのもどうかと思うぜ。 |
仁志 秘書 | 社長としての自覚がないですー。 |
SE | (机を叩く) |
クロフォード社長 | うるさいうるさい!確かに我が社の成績は赤字続きで、秘書を3人雇うのも苦しいくらいさ!だがな、せめて子会社でもあればこっちの赤字を押しつけることだってできるんだ! |
島 秘書 | 社長、それは警察に検挙される可能性がもっとも高い例だと思いますが。 |
クロフォード社長 | 分かってるさ。だがそんな方法しかないだろう。しかしそれにしてもどうするべきか…。ダミー会社を作るのもいろいろと面倒だし…。 |
播磨 秘書 | そしたらさ、他の会社を乗っ取っちまえばいいんじゃないか? |
クロフォード社長 | おお、その手があったか!いや、しかしまてよ、どうやって乗っ取るんだ?資金だってないのに。 |
島 秘書 | 社長、それなら私に良い考えがあります。上手く他の会社を乗っ取る方法が。 |
クロフォード社長 | なんだって?それは一体…。 |
島 秘書 | それはですね…。 |
| セリフ、BG F.O. |
| |
1−2 | |
| ※BGはテレホンボイスで |
BG | (喫茶っぽい)C.I. |
SE | (トランプをきる音) |
社員2 | おらっ、フルハウスだぜい。 |
社員4 | また一人勝ちかよー。おもしろくねー。 |
社員1 | おいおい、いいかげんにしてくれよー。 |
社員3 | あくまで遊びなんですから少しは手加減して下さいよ。 |
社員2 | 俺は遊びだって本気でやるんだよ。さっ、金出しな。 |
社員1.3.4 | (不満を言う) |
SE | (スイッチ) |
BG | C.O. |
社員1〜4 | えっ? |
ノガレス社長 | なにが遊びだ。勤務中にポーカーなんかやってるんじゃない! |
社員4 | しゃ、社長! |
SE | (立ち上がる音複数) |
社員4 | 我らがノガレスコーポレーション社長に敬礼! |
SE | (バシッ!) |
ノガレス社長 | ふん、軍隊じゃないんだぞ。この不良社員どもめ! |
社員1 | 社長、「不良社員」はないでしょー。 |
社員2 | そうですぜ。もうこの会社にはオレ達4人しかいないんですから。 |
社員3 | 給料の安い私たちを残してみんなリストラしちゃったんだから、結構社長もヘソクリため込んでんでしょ。 |
ノガレス社長 | うっ、そこをつかれるとちょっと痛いな…。まあ、うちを販売会社として存続させるだけの金はある。しかしそこからもう一歩踏み出さないことにはうちはいつかつぶれてしまうぞ。 |
社員4 | えっ?それじゃあ、多角経営にでも乗り出すんですか? |
社員1 | 無理ですよ。俺達、営業しかやったことないですもん。 |
ノガレス社長 | 話は最後まで聞け。さっきな、ニュースを見てひらめいたことがあるんだ。そうすれば多角経営なんて怖くない。 |
社員1 | そりゃおもしろそうですね。どんなこと考えてるんです? |
ノガレス社長 | うむ、それはな…。 |
| セリフ途中でF.O. |
| |
1−3 | |
| SEはテレホンボイスで |
SE | (「Roll Back」次回予告 C.I. |
| P |
会田 | あらぁー?社長さん、テレビ見る暇なんてないんじゃないの? |
ベンジャミン社長 | …。 |
会田 | かつては卸売業のトップだったこのベンジャミン商事も、不況のあおりでつぶれる寸前だっていうじゃないのさ。 |
ベンジャミン社長 | …誰のせいだ? |
会田 | えっ?何か言った? |
ベンジャミン社長 | この会社をボロボロにした張本人は誰だときいているんだ! |
会田 | ハンッ、そんなの決まってるじゃない。社長のくせに大した業績もあげた事のないアンタよ。ア・ン・タ。 |
ベンジャミン社長 | バカなっ!総会屋であるお前がこなければこういうことにはならなかったんだ!そうだろ、会田さんよお。 |
会田 | それは逆恨みね。私に目を付けられるようなことをするアンタが悪いのよ。地上げ、土地転がし、大蔵官僚への接待。他にもアンタいろんな事やってたわよねえ。ばらされたら困るんじゃないの? |
ベンジャミン社長 | それは…。 |
会田 | アハハッ、面白いねえ。人の秘密を握るのってさ。まあいいさ。私だって人の子だし、この会社をつぶすことはしないよ。 |
ベンジャミン社長 | 何だと? |
会田 | こんな都合のいいカネズルをダメにするなんてもったいないからねえ。アンタだって職を失いたくはないだろ? |
ベンジャミン社長 | フン…。で、この会社を存続させるために何をするんだ? |
会田 | 聞きたいかい?それじゃ支払いはいつもの口座振り込みでよろしくね。 |
| セリフ途中でF.O. |
| |
ナレーション | TA |
| |
2−1 | |
BG | (喫茶風)C.I. |
ノガレス社長 | あ、どうも。遅れてすみません。 |
クロフォード社長 | いえいえ、気にしなくていいですよ。さあ、座って。 |
ノガレス社長 | それでは失礼して…。 |
ベンジャミン社長 | 注文はどうします? |
ノガレス社長 | それじゃ私はコーヒーのアメリカンで。 |
ベンジャミン社長 | 分かりました。伝えておきましょう。 |
クロフォード社長 | これで3人がそろいましたね。 |
ノガレス社長 | それで、今日はどんな用で? |
クロフォード社長 | いえ、とりたてて特別な用はないんですが。最近、お二人の顔を見てないなとおもいまして。 |
ベンジャミン社長 | そうですね。ここ2年くらいお会いしてなかったですね。 |
ノガレス社長 | はあー、昔はいつものように会ってましたが…。 |
クロフォード社長 | 製造のクロフォード、卸売りのベンジャミン、そして販売のノガレス。この3社が結束すれば怖いものなしという昔がなつかしいですよ。 |
3人 | (ため息) |
ノガレス社長 | あ、それでどうです?最近の景気は? |
ベンジャミン社長 | うちは、どうも…。 |
クロフォード社長 | 私のところもなかなか…。 |
ノガレス社長 | うちは全くダメです。 |
3人 | (ため息) |
ベンジャミン社長 | 最近は銀行も資金を貸し渋りだしたり…。 |
ノガレス社長 | うちは昔借りた分の利子を払うので精一杯ですよ。 |
クロフォード社長 | このごろは会社のまわりでヤクザが「金返せー」って怒鳴ってくるんです。 |
3人 | (ため息) |
ノガレス社長 | ここまでくるともう自分たちが何のために生きているか分からなくなってきましたよ。 |
ベンジャミン社長 | そうですね。生きていてこんなつらい目に遭い続けるなら…。 |
クロフォード社長 | いっそのこと、自分でこの命を絶ってしまおうかと…。 |
3人 | えっ? |
| P |
ベンジャミン社長 | 自殺、ですか? |
クロフォード社長 | ええ。 |
ベンジャミン社長 | 偶然だなあ、私も今、それを考えていたところなんですよ。 |
ノガレス社長 | 本当ですか?実は私も…。 |
クロフォード社長 | なるほど、それでは話は早い。今日お二人を呼びだしたのは他でもない、その自殺についてですよ。この前のニュース、ご覧になりましたか? |
ベンジャミン社長 | あ、はい。3つの中小企業の社長が同じホテルで自殺したというアレですよね。 |
ノガレス社長 | そうかなるほど!かつて経営を共にしてきた私達も同じ事をしようというのですな! |
クロフォード社長 | その通り!1人では心細くても3人よれば自殺なんて怖くないでしょう! |
ベンジャミン社長 | ほおー、なるほど!考えましたねー。 |
| ※セリフ途中でF.O. |
BG | F.O. |
| |
3−1 | |
| ※クロフォードの社長のセリフはテレホンノイズで |
SE | (電話) |
島 秘書 | はい、クロフォード株式会社でございます。 |
クロフォード社長 | ああ、島くんか。私だ。 |
島 秘書 | 社長!それでどうでした? |
クロフォード社長 | バッチリだよ。向こうの2人も快く了承してくれた。しかしなぜああもすんなり自殺を受け入れたのかは気になるが…。とりあえず1週間後に決行する。そっちのほうはよろしく頼むよ。 |
島 秘書 | 分かりました。こちらはお任せ下さい。 |
SE | (電話を切る) |
BG | (敵セリフ2)C.I. |
播磨 秘書 | で、どうだったんだい? |
島 秘書 | 聞けば分かるでしょ。まずは第1関門突破ね。 |
仁志 秘書 | 島―、おめでとー。 |
島 秘書 | (少し顔をこわばらせたような感じで)あ、ありがとう…。(気を引き締めて)でもこれからが勝負どころよ。まずはノガレスとベンジャミンの身辺調査から始めなきゃ。 |
播磨 秘書 | よし、そっちの方は任せな。完璧に調べ上げてやるよ。 |
島 秘書 | それじゃお願い。私は会社吸収の交渉にまわるから。 |
仁志 秘書 | 島―、私はどうすれば良いのー? |
島 秘書 | あ…。それじゃあ、お茶をくんでもらおうかしら。 |
仁志 秘書 | はーい。 |
| P |
島 秘書 | ともかく、これで「ノガレスとベンジャミン乗っ取り計画」の基礎は固まったわ。見てらっしゃい、クロフォードの経済危機は私が回避してみせるんだから! |
播磨 秘書 | し、島ってちょっと恐いな…。 |
BG | F.O. |
| |
| |
SE | (車の音 内部)F.I. |
社員3 | それで社長、どうだったんです? |
ノガレス社長 | ああ。ほぼシナリオ通りさ。でもまさか私が言う前に自殺を切り出してくる奴がいたとはな。まあいい。これでもうこの不景気は、 |
ノガ社長と社員3 | 勝ったも同然!ハハハハ…。(笑う) |
| ※セリフ途中でF.O. |
SE | F.O. |
| |
3−3 | |
BG | (ベンジャVS総会屋)C.I. |
ベンジャミン社長 | さて、これからどうするべきか…。 |
会田 | なに悩んでんのよ。アンタは私の言うとおりにしてれば良いんじゃない。それとも私を信じられないって言うの? |
ベンジャミン社長 | 総会屋を信じろというのがそもそも無理な話だが。 |
会田 | (ドスをきかせて)何か言った? |
ベンジャミン社長 | …いや、仕方ない、信じよう…。 |
会田 | そうそう。アンタみたいな能なしは素直に私に従っていれば良いのよ。ハハハ…。(笑う) |
| ※セリフ途中でF.O. |
| |
3−4 | |
ナレーション | クロフォード株式会社、ノガレスコーポレーション、ベンジャミン商事。3つの会社それぞれの思惑を秘め、たちまちのうちに1週間が過ぎていった。 |
BG | F.O. |
| |
4−1 | |
SE | (戸を開ける音) |
クロフォード社長 | こんにちはー。 |
BG | (優雅な感じ) C.I. |
おかみさん | あらあらいらっしゃいませ。遠い所からお疲れさまでした。さあさ、荷物をお持ちしますよ。 |
ノガレス社長 | ああ、じゃあお願いします。 |
ベンジャミン社長 | あの、すみません、ここは一体…。 |
クロフォード社長 | 我々の最期を飾るのにふさわしい一流の旅館を手配しておきました。「雷座」といいます。 |
ベンジャミン社長 | ほぉー、こりゃすごい。 |
ノガレス社長 | ここで極上の酒を飲みながら自殺する。素晴らしい人生の終わり方じゃないですか。 |
クロフォード社長 | そうでしょうそうでしょう。ささ、部屋の方に行こうじゃないですか。 |
BG | F.O. |
| |
4−2 | |
SE | (街の音) |
島 秘書 | ここね。我がクロフォード社のお得意様、ノガレスコーポレーション。昭和54年の創業以来我が社との関係を保ち続け、たちまちのうちに販売系会社のトップに登り詰めるものの…。 |
播磨 秘書 | (すかさず)あー、御託を並べるのはもう良いからさ、早く行って来なよ。 |
仁志 秘書 | 私たちはここで待ってますー。 |
島 秘書 | そ、そうね。じゃ、行って来るわ。 |
SE | (足音) C.I./F.O. |
| |
4−3 | |
BG | (マヌケな連中)C.I. |
社員1 | おっ!ちょっと見て見ろよ! |
社員2 | ったくうるせーなー。一体何だって…っておい!何だありゃあ! |
社員4 | すげー、キャリアウーマンだよー!ウチのビルに入ってくるよ! |
社員3 | 見たところ、クロフォードさんの秘書のようですねぇ。 |
社員1 | おいおい、こうしちゃいられねーよ。ちょっとそこら辺、片づけろ! |
BG | F.O. |
| |
4−4 | |
BG | (変な奴ら)C.I. |
社員3 | ほぉー、わざわざクロフォードさんの方から出向いてくれるとはご苦労なことですねー。 |
島 秘書 | あ、すみません。自己紹介がまだでしたね。製造業・クロフォード株式会社の秘書・島です。 |
社員2 | あれぇ、苗字だけしか教えてくんないのかなぁ?島なに子ちゃんなんだい? |
島 秘書 | (毅然として)そのようなことをあなた方に教える義務はありません。 |
社員2 | ケッ、つれないねぇ。 |
社員3 | それで今日はどんな御用ですか? |
島 秘書 | そうですねぇ、あまり大声で話すことではないのですが…。はっきり言いましょう。それは…。 |
社員2.3 | そ・れ・は? |
BG | C.O. |
島 秘書 | このノガレスコーポレーションをそっくりそのまま、私達クロフォードが頂きます。 |
| |
4−5 | |
社員2 | へっ? |
社員3 | あ、あのー。それは一体どういうことで…。 |
島 秘書 | ですから、私達がこの会社を乗っ取ると言ってるんです。 |
| P |
社員2 | はぁー、なるほどねぇ。だからこんなかわい子ちゃんをよこしてきたんだ。 |
社員3 | ちょっと待って下さい、島さん。私達はそのセリフ、そっくりそのままお返ししますよ。 |
社員2 | そうそう。お宅の社長、ひょっとしたら棺桶に入って帰ってくるかもしれないんだぜ。 |
島 秘書 | …それは一体どういうことです? |
社員3 | それはですね… |
| ※セリフ途中でF.O. |
| |
5−1 | |
BG | (日本風) F.I. |
ノガレス社長 | ぷはー、こいつはうまい! |
クロフォード社長 | そうでしょう、そうでしょう。この酒は日本酒の中でも最高級の名酒「青龍」ですからね。 |
ベンジャミン社長 | 我々の最期を飾るのにふさわしいですな。ハハハッ! |
参二 | 失礼します! |
SE | (ふすま) |
ノガレス社長 | あ、どちら様だい? |
参二 | へい、私、この旅館の板前をやっている参二といいます。お料理の方、お持ちしました! |
ベンジャミン社長 | おおっ!伊勢エビだ! |
クロフォード社長 | 料理の方もここの一番高いコースを注文しましたからどうぞ召し上がって下さい。 |
ノガレス社長 | こりゃたまりませんなぁー! |
3人 | ハハハハッ!(笑う) |
クロフォードMONO | フフフッ、そうやって人生最期の贅沢を楽しむが良い。今回自殺するのはあくまでお前達2人だけなのだからな。 |
| P |
ノガレスMONO | そうだ、2人ともその調子だ。私だけ生き残るのが運命なのだよ。 |
| P |
ベンジャミンMONO | 他の2人が死ねば残された会社2つは営業譲渡という形で我がベンジャミン商事に助けを求めるしかなくなるだろう。これで経営悪化も何とかなるのさ。 |
3人 | ハハハハッ! |
| P(このPの間にちょっとした声) |
3人 | ハハハハハッ!(長く笑う) |
| ※セリフ途中でF.O. |
BG | F.O. |
| |
| |
SE | (街の音) |
播磨 秘書 | あーあ、今頃社長はおいしいものでも食べながら、2人を自殺させるチャンスを伺ってるんだろうな。 |
仁志 秘書 | ねぇねぇ、播磨ってばー。 |
播磨 秘書 | ん?どうした、仁志? |
仁志 秘書 | ノガレスの方は島が交渉してるから良いけど、ベンジャミン商事はどうするの? |
播磨 秘書 | ああ、あの会社ね。あれはやめといた方が良い。 |
仁志 秘書 | どうしてー? |
播磨 秘書 | だって、私がこの前調べたらあの会社、総会屋が絡んでくることが分かったからさ。下手に乗っ取って総会屋に目を付けられちゃたまんないからな。 |
仁志 秘書 | へぇー、そうなんだー。あれっ?島、戻ってきたよ。 |
| P |
播磨 秘書 | あれっ、どうしたんだ?交渉はまだ始まったばかりだぜ。 |
島 秘書 | なんということ!?これを偶然の一致と呼ぶにはあまりにも出来過ぎた話よ。 |
播磨 秘書 | あん?ちょっと落ち着けよ。一体何があったんだ? |
島 秘書 | どうもこうもないわ!向こうも私達と同じ事を考えてたのよ! |
仁志 秘書 | それってひょっとして向こうも偽装自殺でウチを乗っ取ろうとしてるってことー? |
播磨 秘書 | そういうことになるな。と、言うことは、社長さん、かなり苦しい立場になるぜ。大丈夫なのか? |
SE | F.O. |
| |
6−1 | |
BG | (緊張続く) F.I. |
クロフォードMONO | くそっ、なぜ2人とも自殺を切り出して来ないんだ! |
| P |
ノガレスMONO | はやくどっちか始めてくれないのか…。こっちだってもたないぞ。 |
| P |
ベンジャミンMONO | こちらから言い出すと私が最初に首を吊らなきゃならないのに…。 |
BG | (緊張続く) C.O. |
| |
7−1 | |
SE | (朝・小鳥) C.I. |
SE | (ふすま) |
おかみさん | おはようございます。朝食のお時間ですが。 |
3人 | (いびき) |
ノガレス社長 | ん、ああ、どうもおはようございます。 |
ベンジャミン社長 | えっ、もう朝ですか? |
クロフォード社長 | いやー、昨日はよく飲みましたなぁ。 |
3人 | えっ!? |
SE | (朝・小鳥) C.O. |
クロフォードMONO | おいおい、ちょっと待ってくれよ。朝になってるじゃないか! |
ノガレスMONO | 2人を自殺させる前に眠っちゃったってことか…。 |
ベンジャミンMONO | やれやれ、今回は失敗か…。それじゃ次回に期待するしかなさそうだな…。 |
おかみさん | あ、そうそう、チェックアウトは午前10時となっておりますのでそれまでにお支度は済ませておいて下さい。それと、これは宿泊代とルームサービスの請求書です。 |
クロフォード社長 | あ、はい、どうも…。な、何だって! |
ベンジャミン社長 | え、どうしたんですか…、うわっ! |
ノガレス社長 | 2人ともどうしたんですか?顔、青くしちゃって…、ゲッ!85万6000円!? |
おかみさん | そりゃそうでしょう。部屋から料理まで最高級のものを用意しましたから…ってあら? |
| P |
3人MONO | 持ち合わせがない…。 |
ベンジャミン社長 | あの、どなたか、クレジットカード持ってないです? |
クロフォード社長 | ヤクザに「金返せー」って言われてるのにカードなんか持ってないですよ。 |
ノガレス社長 | 私も、カードは持たない主義なんで…。 |
おかみさん | ほう、ということは払えないと言うことですね。(態度豹変)参二! |
参二 | 何です、女将さん? |
おかみさん | 警察呼びな。 |
参二 | がってんだ! |
| P |
SE | (サイレン) C.I./F.O. |
| |
8−1 | |
| ※テレホンボイスで |
BG | (ニュース) F.I. |
キャスター2 | えー、それでは次はこの話題です。 |
キャスター1 | 昨日、京都市内の高級旅館で、クロフォード株式会社、ノガレスコーポレーション、ベンジャミン商事の社長3人が無銭飲食の容疑で京都府警に逮捕されました。 |
キャスター2 | 調べによりますと、この3人の社長は…。 |
SE | (TV消す)、同時にBG C.O. |
| |
8−2 | |
BG | (ED曲) C.I. |
仁志 秘書 | あーあ、社長、捕まっちゃったよー。 |
播磨 秘書 | ちょっとマズいんじゃないのか?そのうち会社乗っ取りのこともバレるぜ。 |
島 秘書 | そうね。もうここら辺が潮時かしら。 |
播磨 秘書 | うん。お先真っ暗のこんな会社、やめちまった方が良いよ。 |
島 秘書 | あーあ、私の完璧すぎる作戦が…。 |
仁志 秘書 | まぁそのうちなんとかなるよー。 |
播磨 秘書 | アンタ、無責任だよ、それ。 |
| ※セリフ途中でF.O. |
| |
8−3 | |
社員3 | あーっ、ありましたよ! |
社員2 | マジで? |
社員3 | はい、これ見て下さいよ!社長の残したヘソクリですよ。 |
社員1 | …38、39、40。ちょうど40万あるぜ! |
社員4 | よし、この金で飲みに行こう! |
社員3 | それじゃあれ飲みましょうよ!「フランチェスカ=オルス」!幻の赤ワインと呼ばれるこいつを飲んでみたかったんですよ! |
社員2 | バーカ、酒なんかに使ったらすぐなくなっちまうだろ。 |
社員1 | OKOK!それじゃこの金は競馬で増やしていこうぜ。 |
社員2〜4 | いーねぇ。 |
| |
8−4 | |
会田 | フッ、かつては卸売業のトップと言われたこのベンジャミン商事も、今では社員が皆逃げ、残ったのは社長逮捕の汚名と多額の借金だけとはねぇ。はぁーやだやだ。世の中みんな狂ってるよ。 |
| P |
会田 | さて、私もそろそろ退散するか。次のカモを見つけないとねぇ。あっ、そうそう、あいつらの後始末をしておこうか。 |
| |
9−1 | |
ナレーション | EA |
BG | F.O. |
| |
10−1 | |
SE | (電話呼び出し) C.I./C.O. |
会田 | あ、もしもし、報血新聞ですか?実は面白い情報を手に入れまして。ええ。この前無銭飲食で捕まった社長達のことで。実はですね、あの裏に会社乗っ取りが絡んでいたのをご存じでしたか? |
| ※セリフ途中でF.O. |